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アスリートにこそサステナビリティを。 播戸竜二が実践する、 セカンドキャリアの選択肢アスリートにこそサステナビリティを。 播戸竜二が実践する、 セカンドキャリアの選択肢アスリートにこそサステナビリティを。 播戸竜二が実践する、 セカンドキャリアの選択肢アスリートにこそサステナビリティを。 播戸竜二が実践する、 セカンドキャリアの選択肢アスリートにこそサステナビリティを。 播戸竜二が実践する、 セカンドキャリアの選択肢アスリートにこそサステナビリティを。 播戸竜二が実践する、 セカンドキャリアの選択肢

播戸 竜二

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アスリートにこそサステナビリティを。
播戸竜二が実践する、
セカンドキャリアの選択肢
サッカー指導者/サッカー解説者/元サッカー日本代表播戸 竜二

アスリートにこそサステナビリティを。播戸竜二が実践する、セカンドキャリアの選択肢

update 2024.05.07

# スポーツ

# サステナブル

# ライフスタイル

# キャリア

# 教育

ガンバ大阪を皮切りに、コンサドーレ札幌、ヴィッセル神戸、セレッソ大阪など、Jリーグの第一線で20年以上に及ぶサッカーキャリアを彩った播戸 竜二 氏。2019年9月、惜しまれつつ現役を引退した後は、Jリーグの特任理事、解説者、指導者などサッカー業界の裾野を広げる活動をする一方で、ラジオMC、映画俳優デビューなど、自身のポテンシャルを拡張するような未知のフィールドにも挑戦し続けている。

そんな播戸氏が、セレッソ大阪在籍中の2011年に代表取締役として設立したのが、「株式会社ミスタートゥエルブ」。主にアスリートのセカンドキャリアのマネジメントやライフ設計のコンサルティングを目的としており、播戸氏が現役時代に立ち上げた事業だ。プロスポーツ選手の人生とスポーツ界の未来について何を思うのか、話を聞いた。

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播戸 竜二 氏/サッカー指導者、サッカー解説者、元サッカー日本代表。株式会社ミスタートゥエルブ代表取締役。

選手としての有終の美、そしてこれから

—播戸さんは現役を引退された後、JFA(日本サッカー協会)やJリーグ選手OB会などに携わりながら、サッカー文化を広める様々な活動もされています。まず、播戸さん自身がサッカーを始めたきっかけは何だったのでしょう?

播戸 竜二 氏(以下 播戸):子どもの頃からスポーツ全般好きで、将来はプロのスポーツ選手になりたいなと。最初は野球選手に憧れてたんですけど、自分の体格では花形プレイヤーにはなられへんのちゃうかなって。バレーやバスケも好きだったけど、プロになるにはどうにも身長が足りない。

でも当時サッカーだと、マラドーナ、ペレ、ロベルト・バッジョのような、身長170そこそこのスタープレイヤーがたくさん活躍していた。これなら自分でもいけんちゃうか? と。小学校からサッカーを始めて、6年生くらいの頃にJリーグができて、そこから本格的にプロのサッカー選手を意識し始めました。

—小学生の頃から、かなり自分を冷静に分析していたんですね。そこからのJリーガーとしてのご活躍は多くの人が知るところですが、同時に現役時代から様々な事業にも着手されています。このきっかけはなんだったのでしょうか?

播戸:アスリートは夢やロマンがある仕事ですけど、「辞めた後、どうするんやろ?」という問いは昔から持っていて。サッカー選手だって、足が折れたらそこで終わりじゃないですか。

30歳くらいの頃かな、リアルにその辺りを考えだして、服が好きだったのでアパレルの事業を始めたり、ブログ広告について勉強したり。今もお世話になってるビジネスパートナーとは20歳の頃に知り合って、現役時代から少しづつセカンドキャリアについては意識し始めていましたね。

—引退後も、サッカーに関わる仕事一本でいこうとは思わなかったんですか?

播戸:もちろんサッカーに関わる仕事は一生しますよ。でも、現場のコーチや監督を仕事にすると、どうしても自分の意思とは違うところで立場を左右されるケースがある。急に「解任や」って言われてクビになったり、そういうのは嫌やなぁと。自分の仕事は自分でコントロールできる立場をつくりたいとは考えていました。

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—いわゆる経営やマネジメントなど?

播戸:経営やビジネスがなんたるかは、まだ全然勉強中ですけどね。2019年に選手を引退してからはとにかく昼も夜も、いろんな会社のいろんな人に会いに行くようになりました。世の中にはどんな仕事があって、どんな経営者がいて、その人たちはどういうことを考えているのか。アスリートや元アスリートに、どのようなことを求めているのか。

2011年に立ち上げたミスタートゥエルブという会社も、アスリートのコンサルティングやマネージメントを事業の軸にしています。元アスリートはもちろん、現役の選手たちにとっても将来のセカンドキャリアを見据えながらプレーに専念できる環境がつくれたら良いなと。そのロールモデルを示そうと、僕自身も現在の活動をしています。

—サッカー選手というバックグラウンドは、ビジネスのシーンでどのように活きるのでしょうか?

播戸:例えば僕だと、ある大手の人材系企業の方からスポーツ系ベンチャーを立ち上げる若手たちとディスカッションしてくれという依頼を受けたことがありました。プロのスポーツ選手の目線で事業のプレゼンやプロダクトに対してアドバイスをしたり、人を繋げたり。2019年には株式会社TENTIALのCSO(チーフ・スポーツ・オフィサー)にも就任させていただきました。

—スポーツビジネスをする上で、第一線のアスリートの意見が聞けるのは貴重ですね。

播戸:アスリートって目標に向かってコミットする力は誰よりも持っているので。設定したゴールに向かって、そのためには何をすればいいか、どんなイメージを持てばいいか。そのスキルをもっと、事業の中で活かせるといいですよね。

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サステナブルなセカンドキャリアとは?

—播戸さんは、日本サッカー協会(JFA)が設立した「JFA SDGs推進チーム」にも2020年から参画しています。サッカーという観点は、サステナビリティにどのように貢献できると思いますか?

播戸:SDGsって、地球環境ももちろんですけど、「人」もサステナブルであるべきやと思うんです。そういう意味で、アスリートのセカンドキャリアに着目しています。現役を引退してからも、子どもが憧れるような、輝いた存在でいてほしい。引退して指導者として現場を盛り上げるのも重要ですけど、それ以外にもいろんな領域でアスリートは活躍できることを伝えていきたい。そうすれば若い子たちも、「そんな人生の道もあんねや」と夢を持ってスポーツに取り組める。そういう世界をつくりたいと考えています。

—播戸さんは実際にラジオパーソナリティとしてレギュラー番組を持たれていたり、時には映画俳優にチャレンジしたり、アスリートの可能性を拡張しているように思います。

播戸:極論、アスリートの活かし方って「なんかアイツがおると元気出るな」とかでもアリだと思うんですよ。知ってるアスリートが会社にいるだけで、しんどい仕事がちょっと楽しくなったり、オフィスが明るくなったり。ムードメイカーとしての役割を果たせるのもアスリートならではなんじゃないかなと思います。

—スポーツ選手はチームワークや集中力のプロだからこそ、組織の中で発揮できる価値もありそうですよね。また、播戸さんはニューラルの子会社「ニューラルスポーツ」の社外取締役にも2023年に就任されています。スポーツ界に特化したESG・サステナビリティのアドバイザリーファームとのことですが、具体的な事業内容についても教えていただけますか?

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播戸:トレーニングやアドバイザリーを通じて、アスリートや元アスリート、チームやクラブ関係者に対して、サステナビリティやSDGsに関する知見の習得機会を提供していく会社ですね。SDGsやサステナビリティは、現在もこれからもどの企業も無視できない指標です。でも、それってなんで大事なんやっけ? 何をすればいいんやっけ? ってところを、アスリートと企業が手を組んで発信していけると、より社会に浸透しやすいんじゃないかと。アスリートも現役の頃からそれを学んで知見として持っておくと、引退後のキャリアを考える時の一つのセールスポイントになる。そうすると、企業も声をかけやすい。中身の何を話すかよりも、まず誰が話すか?が大事で、みんながそれに対してなんやかんや言う方が、色々と早いんちゃうかなと。

—なるほど、まずSDGsについて考える入り口の裾野を広げるために、認知度の高いアスリートが旗を振る。それが企業にとってもアスリートにとってもメリットがある仕組みになればとても意義深いですね。

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聞き手を務めた後藤友尋/Bipass編集長

播戸:欧米のアスリートって、自分たちの発信や行動が社会にどんな影響力を持つかに自覚的な人が多いんですけど、日本のアスリートは組織に属するという意識が強い傾向があるように思います。アスリート個人が発信する力を持って社会を動かして、それに賛同した企業がついていくような流れをニューラルスポーツでつくっていければいいですね。

純粋な「楽しさ」を伝え続けるために

—播戸さん自身が今、興味関心を持ってる事業の領域はありますか?

播戸:もちろんスポーツやウェルネスのような健康領域は関心が高いですが、一番大事なのは人との繋がり、その人と何かやりたいと思えるかどうかですね。儲かるかどうかは、正直あまり優先順位は高くない。

—お話ししてると、人との出会いや生のコミュニケーションをすごい重視されてるんだなというのは感じます。

播戸:そうですね、イベントやサッカー教室で全国各地に行ったりすると、街や人が見えてくる。いろんなコミュニティを訪れて話をして、その中で新しく学べることが自分の活力になっているかもしれないですね。

今、毎日基本的に19時から22時までは話を聞いてみたい・学んでみたいと思う方との会食をセッティングして、22時から24時ぐらいまでは自分より年下の若手と飲むっていうサイクルの生活をしていて。こういう人になるためにはどうすればいいんやろう、この若者はこの先どうなっていくんやろうっていう分析を自分なりにしていますね。

—すごいインプットの生活ですね。SNSやオンラインでもいくらでも繋がれる時代ですが、直接会うことの情報量はやっぱり違いますか?

播戸:超アナログ派ですね。例えば僕はYouTubeチャンネルもやってますが、こうして面と向かい合えばQRコードのついたシールを渡して「チャンネル登録お願いします!」って直接言える。ラジオもやってます、姫路のふるさと大使もやってます!って。こういうご縁が一つひとつ積み重なって、点が線になり、円になることで生まれるものがあるんちゃうかなと。

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—すごい好奇心旺盛というか、勉強熱心だなと感じます

播戸:サッカーをずっと長いことやってきたので、さらにいろんなものを自分にプラスアルファしていきたいんですよね。会社経営についても勉強したいし、政治についても勉強したい。別に自分が政治家になろうとは思わないですけど、世の中がどういう仕組みになってるのか、どんな流れになってるのか、最低限の知識は必要だし、知った方が面白いじゃないですか。

このメディアも「バイオマス」がテーマなんですよね? 正直僕はその分野に関してまだまだ不勉強ですけど、こうやって面と向かって話を聞けば面白がれるし、アスリートだからこその視点で広められることもあると思うんです。

—今後の活動について、思い描いていることがあれば教えていただけますか。

播戸:日本サッカー協会(JFA)との「アスパス!」という活動がまずあります。「地球(earth)の明日(未来)のために私たち(us)がつなぐパス」って意味をかけていて、スポーツを通して「環境、人権、健康、教育、地域」に貢献しようというもの。

サッカーを楽しむための前提となる気候や自然などの環境をケアすることもですし、年齢や性別に関係なく誰もがスポーツを楽しむために、サッカー界に何ができるかを考え実践しています。小さい子がサッカーを始めるきっかけをつくったり、60歳や70歳でも元気にプレーを楽しめるような仕掛けづくりをしたり。本当の意味で、サッカー界が社会に貢献できていると思える活動をしていきたいなと。

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—最後の質問です。播戸さんにとっての「愛せる未来」とはなんでしょう。

播戸:一番根本にあるのは「楽しくいたい」ということ。これまでお話した活動も、楽しくないと続かないし、伝わらないですから。子ども達にサッカーの面白さやSDGsの大事さを伝える時も、純粋な楽しさがないと駄目ですよね。

僕も現役時代、しんどいことや辛いことはたくさんありましたけど、根っこに楽しさがあるから続けられたし、今も様々な領域にチャレンジができている。大人になっても楽しさを見出しながら生きていける人が、一人でも増える社会になれば嬉しいです。

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TEXT:Shingo Matsuoka/PHOTO:Shoichi Fukumori

播戸 竜二

サッカー指導者/サッカー解説者/元サッカー日本代表播戸 竜二

サッカー指導者/サッカー解説者/元サッカー日本代表播戸 竜二

株式会社ミスタートゥエルブ代表取締役。1998年、ガンバ大阪に加入。1999年FIFAワールドユース選手権・ナイジェリア大会に出場し、準優勝を経験。2006年J1リーグで16得点を挙げ日本代表に初選出。21年にわたる現役生活でJリーグ通算109得点を記録し、2019年9月14日に現役引退を発表。引退後は2020年3月からJリーグ特任理事、同年5月から日本サッカー協会のアスリート委員、2021年2月からはWEリーグの理事を務めた。また、サッカー解説やメディア活動と並行し、パーソルキャリア・パーソルイノベーション株式会社のアドバイザーや株式会社TENTIALのCSO(最高スポーツ責任者)やCSO(最高サステナビリティ責任者)も務めるなど、スポーツ界・ビジネス界を横断して幅広く活躍している。

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