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酢酸セルロース

酢酸セルロース(cellulose acetate)とは?

私たちの暮らしに密接に関わっている「セルロース」。食品添加物や繊維、紙などを思い浮かべる方も多いと思います。セルロースとは、植物細胞壁の主要構成成分です。自然界にもっとも多く存在する有機高分子化合物で、植物中で二酸化炭素と水から光合成によってつくられています。では、今回ご紹介する「酢酸セルロース」とは一体どんな素材で、どんな特徴があるのでしょう。

酢酸セルロースとは

酢酸セルロースも天然由来の素材から作られ、使用後は自然に戻るため、環境にやさしく生体に対して安全性の高いセルロース系樹脂の原料高分子として注目されています。
その特徴は、

●日光(特に紫外線)に対する抵抗力が大きく、容易に分解しないので長期間使用することができます。
●融点も高く230~300℃で溶融して炭化します。
●耐薬品性が良好で、有機、無機の弱酸、動植物油、ガソリン等には侵されません。
●電気伝導度は低く、高度な内部抵抗および外部抵抗を持っていますので、良好な絶縁材料となります。

酢酸セルロースの原料

酢酸セルロースは木材繊維や綿花等、非可食性植物由来のセルロースを原料とし、その水酸基を酢酸で化学修飾(エステル化)することで得られるバイオマス素材で、生体に対して安全性の高い物質です。

酢酸セルロースの用途

酢酸セルロースは、成型方法の観点から2つの使用方法があります。

①溶剤に溶解しての、湿式・乾式での成形加工
酢酸セルロースは特定の溶剤に可溶であり、アセチル置換度2.5程度のDAC(セルロースジアセテート)は乾式紡糸により衣料用繊維や濾過フィルターに使用されます。
アセチル置換度2.9程度のTAC(セルローストリアセテート)はフイルム状もしくは中空糸状に成型され、液晶用光学フイルムや濾過膜等に使用されます。

②溶融による成型加工
酢酸セルロースは熱可塑性が乏しく単独では熱成型が困難です。そのため、可塑剤と混合され溶融成型加工されます。古くよりメガネフレームや櫛といった、人体に接する用途に使用されています。

生分解性プラスチックとは?

生分解性プラスチックとは、微生物の働きによって「水」と「CO2」に分解され、自然へ還る性質を持つプラスチック材料の事を指します。
近年、海洋プラスチックごみ問題などを筆頭とした環境問題に対して、効果を発揮する材料としても注目されています。

世界のプラスチック生産は1960年代から2019年では約20倍の4億トン/年となり、20年後にはさらに2倍の生産予測がされています。このうち、リサイクルされているものはわずか10%弱に過ぎず、回収されたプラスチックごみの約80%が埋め立てや自然界(海洋等)へ投棄されています。このままでは2050年までに海洋中のプラスチックが魚の重量を上回ると言われており、環境汚染問題が深刻化しています。これに対して、EUをはじめ世界各国では、プラスチックの資源循環への関心が高まっており、この課題の規模を考えると、設計から生産、消費、廃棄に至るまで、プラスチック製品のライフサイクル全体を網羅する新しい枠組みが必要となっています。

生分解とは、単にプラスチックがバラバラになることではなく、微生物の働きにより、分子レベルまで分解し、最終的には二酸化炭素と水となって自然界へと循環していく性質をいいます。「生分解性プラスチック」の生分解度は、国際的に規定された試験方法と、定められた基準により審査されます。さらに、重金属等の含有物、分解過程(分解中間物)での安全性などの基準をクリアした製品だけが、生分解性プラマークをつけることができます。

原料が植物由来でバイオマスプラスチックの側面を持っているものも多いですが、石油由来でバイオマスプラスチックの側面は持たず、生分解性のみを持つものもあります。

生分解性プラスチックの特徴

生分解性プラスチックは、通常のプラスチックと同様に使うことができ、使用後は自然界に存在する微生物の働きで最終的に水と二酸化炭素に分解され、自然界へと循環するプラスチックです。食品残渣等を生分解性プラスチックの収集袋で回収、堆肥化・ガス化することにより、食品残渣は堆肥やメタンガスに再資源され、収集袋は生分解されるため、廃棄物の削減に繋がります。また、マルチフィルムを生分解性プラスチックにすれば、作物収穫後にマルチフィルムを畑に鋤き込むことで、廃棄物の回収が不要となります。

酢酸セルロースと他の生分解性プラスチックの違い

酢酸セルロースは、他の生分解性プラスチックとは異なり、石油系樹脂が台頭する以前から使用されていました。廉価な樹脂に代替されなかった背景は、酢酸セルロース固有の特徴が認められていると考えられます。よって、単純に石油系樹脂と同等の用途だけではなく、酢酸セルロースであるからこそフィットする用途を新たに見出し、製造していくことが期待されます。

ダイセルの酢酸セルロース

ダイセルの技術によって、海水中での生分解性に優れた酢酸セルロース「CAFBLO(キャフブロ)」を開発し、2021年9月にテュフ・オーストリアによる海洋生分解性の国際認証「OK biodegradable MARINE」を取得しました。ダイセルは、従来の酢酸セルロースよりも生分解しやすく、しかも物性は従来と同等に保てる化学構造を見いだすことに成功し、酢酸セルロース「CAFBLO」を開発しました。これらの海水中の生分解性を下の図に示します。

image4

分子構造のコントロールにより、生分解の速度を調整することが可能であることもわかってきており、今後、様々な用途への展開を図ることで、海洋プラスチック問題解決への一助となることが期待されています。

実用面では、2022年10月29日(土)から、ガンバ大阪のホームスタジアムであるパナソニックスタジアム吹田で、ダイセルの酢酸セルロース樹脂・植物由来プラスチック「セルブレン®EC」を使用したカトラリーが採用され、導入されています。


ダイセルの酢酸セルロース樹脂「セルブレン®EC」について
「セルブレン®EC」は、木からできて自然に還る環境にやさしいプラスチックです。海水中での生分解が確認されている※ため、海洋ごみ問題の解決に資する新しい素材として、近年注目されています。
(※成型物の厚み、環境等により生分解の速度は変わります。)

cutlery pen tee clear-package

「セルブレン®EC」を使った 食品資材の例

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パナソニックスタジアム吹田で使用されるカトラリー

まとめ

循環経済(サーキュラーエコノミー)の実現に向けて、地球にやさしいバイオマス由来の生分解性プラスチックとして酢酸セルロースを私たちの生活に適用させていく必要があります。そのためには、様々な熱成型方法に対応させなければならず、新たな可塑剤や流動性改良剤の開発に加えて、樹脂物性のバリエーション向上のために、他の生分解性プラスチックとのコンパウンド(=混ぜ合わせる、調合する)等も検討されています。

これらに加えて、生分解性プラスチックに対する人々の認識や理解度向上のための政策的取り組みも必要です。生分解性プラスチックを正しく理解し、正しく使用し、適切にリサイクルすることが、循環経済(サーキュラーエコノミー)の実現に重要となってきます。企業の努力、政府の支援に加えて、私たちの理解の上に地球規模の環境問題の解決策が見いだされていくでしょう。

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