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"できること"より "したいこと" から。 価値と経済を生む「森林×web3」の可能性"できること"より "したいこと" から。 価値と経済を生む「森林×web3」の可能性"できること"より "したいこと" から。 価値と経済を生む「森林×web3」の可能性"できること"より "したいこと" から。 価値と経済を生む「森林×web3」の可能性"できること"より "したいこと" から。 価値と経済を生む「森林×web3」の可能性"できること"より "したいこと" から。 価値と経済を生む「森林×web3」の可能性

グループ対談

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"できること"より "したいこと" から。
価値と経済を生む「森林×web3」の可能性
TIS株式会社/クリエイティブディレクター伊藤 淳
SUNDRED株式会社吉井 拓史

"できること"より "したいこと" から。価値と経済を生む「森林×web3」の可能性

update 2023.10.10

# 森林

# web3

# NFT

# コミュニティ

# 木工

「『したいこと』から、考えよう。」を合言葉に、木の活用に興味のある人や林業関係者、クリエイターなどが集まるコミュニティ「WOOD DREAM DECK」。ITの力と地域の森林資源を活かし、経済循環と環境保全を両立するエコシステムの構築を目指すプログラムとして、TIS株式会社が企画提案したものだ。同プログラムは埼玉県秩父郡横瀬町の官民連携プロジェクト「よこらぼ」で採択され、2023年3月、同町にてスタートした。

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「したいこと例:サウナ小屋を建てたい」の支援イメージ。未利用間伐材や遊休森林などの森林資源活用に必要な地域の山主、製材業者、家具職人などと、森林に関わる地域内外の様々なプロジェクトや個人を繋げるファンベースコミュニティを提供し、web3技術を使って活性化させる。

日本の森林の約4割を占める人工林は、国産材の需要低下やそれに伴う林業従事者減などから、現在さまざまな地域でその管理や循環利用が課題となっている。森林は本来、木材生産のほか土壌保全や水資源の涵養、生物多様性や地球環境の保全など多面的な機能を有しているが、特に人工林では適切な整備と資源活用・再造林による循環がなされなければ、その機能も低下してしまう。WOOD DREAM DECKではこの課題を捉え直し、web3の概念と技術を用い、山主や製材業者、家具職人など、森林資源活用の様々な領域と連携しながら、森林循環サイクルの活性化に取り組んでいる。

その仕組みづくりやweb3を使ったコミュニティの活性化について、運営するTIS株式会社DXクリエイティブデザイン部のクリエイティブディレクター・伊藤淳氏と、同コミュニティ参加企業であるSUNDRED株式会社の吉井拓史氏に話を伺った。

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左から、吉井 拓史氏/SUNDRED株式会社、後藤友尋/Bipass編集長、伊藤 淳氏/TIS株式会社

「したいこと」から生み出す価値と経済循環

Bipass編集長 後藤友尋(以下、後藤):まずは「WOOD DREAM DECK」立ち上げの経緯を教えてください。

伊藤淳氏(以下、伊藤):私自身の最初のきっかけは2011年の東日本大震災です。私はその頃、大手自動車メーカーの研究部門でシステム開発をしていたのですが、震災後にボランティアで被災地を回り、津波で流されて動かなくなった自動車やバイクをたくさん見ました。そこで感じたのは、プロダクトは壊れるものだし、壊れてしまうといざという時に役に立たないということでした。一方で、ボランティアで人が助け合う姿を目の当たりにして、人のつながりは災害でも壊れないし、非常時にこそその力が発揮されるということに衝撃を受けました。そこから、ただ製品をつくって世に送り出すのではなく、人のつながりを強くするようなサービスをつくりたいと考えるようになりました。その後TISに転職し、人のつながりをテクノロジーでサポートしていくということが自分の中でのミッションになりました。

WOOD DREAM DECKというプログラムは、弊社が取り組む重点課題である「都市集中・地方衰退」と「低・脱炭素化」にアプローチできるというところで、森林資源に着目し考え始めました。地方活性化という文脈で木材活用により経済活動を生み出し、山にお金を還元しながら地域の自然を守っていくことができるのではないかと。

後藤:プログラムの立ち上げはどのようなところから着手したのでしょうか。

伊藤:最初は、企業や個人がカーボンクレジットを取得して温室効果ガスをオフセットできるようなサービスを考えていました。ただ日本の森林由来のカーボンクレジット市場はまだまだとても小さい上に、単価がめちゃくちゃ高い。そうすると現状では、その仕組みをつくっただけでは海外の森にお金が流れてしまい、日本の森にお金が流れないんです。

私は埼玉県の山間地域に移住して森に囲まれて暮らしていますが、まずは身近な森を良くすることから取り組むべきなのではないかと思うようになりました。移住してから気になっていたのが、自宅の向かい側にある全く手入れされていない人工林です。痩せ細った木が密集して、下草が生えないくらい光が届かない森になってしまっています。その根本的な原因は、やはり国産材の安さです。木材の価格に対し、木を伐って植え替えるコストの方がかなり高くなってしまうので、手入れされない人工林が増えてしまう。これは日本中で大きな課題になっていますが、まずはそこをちゃんと解決していかないと、日本の森で経済循環を活性化することは無理だと思っています。

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伊藤 淳氏/TIS株式会社。お話を伺ったご自宅の窓の外には隣接する森の緑が広がっている。

 伊藤:ただ、地球の環境を守るために地域の木を使おうといっても、日本の森の循環を促進することはできないと思います。日本では環境アクションに対してのネガティブなイメージが大きくあり、環境対策をすることによって生活の質が下がると思っている人が6割ほどいるというデータもあります。一方で、海外では7割くらいの人が環境対策によって生活の質が上がると考えている。それくらい環境対策に対する日本のマインドセットが「負」に向いているということです。

そこで環境のために地域の木の活用を促すのではなく、自分のしたいことから考えるという視点で始めることにしました。自分がやりたいことを、自分のために地域の木を使って叶える。それにより結果的に森を支える文化が根付き、そこにお金も生まれる。この流れをつくるため、「『したいこと』から、考えよう。」というコンセプトを立ち上げました。

プログラムの内容としては、まず「木を使ってしたいこと」を持つ人の願いを叶える支援です。やりたいことがある人と、山主や製材業者、家具職人などをつなげる場としてオンラインのコミュニティをつくりました。そして森林関係の活動に対して、共通ポイントとなるトークンを発行しています。これは地域内外の人が活動に参加するきっかけを生み出し、コミュニティを活性化させることが目的です。また、地域の木材を使った製品や体験にNFTを活用して付加価値をつけることで、木の需要を生み出し山に還元していくという仕組みづくりを目指しています。

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ファンベースコミュニティを広げるために、森林関連のトークンを発行し流通させることで、様々なインセンティブを与えて地域内外の人があらゆる森林関連のプロジェクトに参加するきっかけを生み出し、コミュニティを活性化させる。

後藤:コミュニティづくりについては、基本的にはweb3の活用をセットで考えているのでしょうか?

伊藤:どこの地域でも誰でも使えるような分散型のコミュニティにすることが重要なので、中央に依存するプラットフォームではない分散型のサービスとして、web3が一つの手段として適していると思っています。

プロジェクトを行き来する連携と参加の余白

後藤:「木を使ってしたいこと」として、これまでにどんな事例がありましたか?

伊藤:最初に手掛けたのは「みんなでサウナに入りたい」というプロジェクトで、地域の間伐材を使った合板でサウナをつくりました。サウナの加工や組み立ては、WOOD DREAM DECKのコミュニティでの呼びかけで、地域内外から20人以上が協力してくれました。

また横瀬町のコミュニティ・イベントスペースのミーティングブースや、町が運営するチャレンジキッチンENgaWAのテーブル、秩父地域の川瀬祭りで使われる給水台など、いくつものプロジェクトが立ち上がって進行しています。

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WOOD DREAM DECK初の事例として完成した、地域の木材を活用し製作された「ocomoriサウナ」。横瀬町が運営する宿泊施設に併設されている。

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コミュニティ・イベントスペース「Area898(エリアはちきゅうはち)」に設置するミーティングブースの骨組み。ビスや釘を使わない木組みの手法が取り入れられている。

後藤:チャレンジキッチンENgaWAのテーブルプロジェクトでは、デザインのアイデアコンテストを開催するなど、WOOD DREAM DECKでは「木を使ってしたいこと」を実現させるプロセスに、いろんな人が参加したくなる仕掛けがあります。その参加の余白がとても大事だなと感じていました。

伊藤:関わりを持つことで、ものや場所への愛着が湧きますし、関係人口づくりにもつながると思っています。

 後藤:吉井さんは参加企業としてWOOD DREAM DECKの立ち上げから関わっていますが、どのような経緯で連携するようになったのでしょうか。

吉井拓史氏(以下、吉井):私はSUNDREDの新産業共創プロジェクト「フォレストリバイタライズ産業 ※」で、森林の課題や人との関係性など、価値循環の仕組みづくりに取り組んでいます。そこで開催したオンラインワークショップで伊藤さんと出会い、私たちの目指すところとWOOD DREAM DECKの構想に共通する部分があると感じました。私たちもNFTを活用して森林コミュニティを活性化させようとしていましたし、親和性が高かった。また私が個人的に横瀬町の「よこらぼ」で企画を採択されていたこともあり、横瀬町という地域のつながりもあることが分かり、一緒にやっていきましょうということになりました。

Bipassインタビュー「森林と人で作る新たなエコシステム【前編】

後藤:やっていることが似ていると、ともすると壁をつくってしまうこともあると思いますが、自然な形で合流して連携が始まっているというのがすごくいいですね。最初はどのようなことから始めたのでしょうか。

吉井:フォレストリバイタライズ産業では昨年の10月に、那須の森林でNFCタグの活用などエコシステムの実証実験をしています。そこでTISをはじめいくつかの事業者のサービスやサポートを使わせていただきました。そこから連携が始まり、WOOD DREAM DECKにつながっていきました。

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吉井 拓史氏/SUNDRED株式会社。フォレストリバイタライズ産業の中心メンバーでもある。

後藤:今、WOOD DREAM DECKでは、どのような取り組みをしているのでしょうか。

伊藤:先程の事例のほかに、もっと森を身近に感じてもらえるようなキノコ狩りなどもコンテンツにしています。キノコ狩りは私の趣味でもありますが、昨年は地域の子供たちが参加してくれて、一緒に自宅の裏山を探して回ったりしました。

吉井:コンテンツになる要素がここにはたくさんあるんですよね。ずっと地域にいる人にとっては当たり前だけど、都心部では体験できないことや、外から見たらとても価値を感じるものもある。

伊藤:キノコはまさにそのケースですね。実は市場ではとても高価なキノコがこのあたりにはたくさん生えていますが、地元の80歳の方に見せると初めて知ったという。特に自然はずっとそこにあるから、興味を持たないとその価値に気づかないんですよね。だから私のような移住者の目線で、ここに新しい価値があるという認知を広げていきたいです。

目指すべきは「中央分散型」のweb3コミュニティ

後藤:コンテンツづくりやプロジェクトは、基本的に伊藤さんが中心になって進めているのでしょうか。

伊藤:今のところは私が進めていますが、もっと様々な人にプロジェクトリーダーを担ってほしいと思っています。これはほかのweb3関連のプロジェクトでも抱えている課題ですが、自己主張をしたり「みんなでやろうよ」と声をあげるのは、なかなか日本人の苦手なところですよね。自分の思いを自分の手で実現させていく、ないものを自分の手でつくり出すということが根付いていない。教育の問題かもしれませんが、そこを文化としてどう浸透させていくかという課題があると思います。

DIYのようなこともスタートアップやベンチャーも、自分でまず手足を動かすということが本質です。「まずやってみる」ということを、もっといろんな人がやってもいいんじゃないかなと。それが習慣になってくると、新しい事業を自分たちでつくるというのも、同じように当たり前になってくると思います。

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木に囲まれ、棚や床などあらゆるところにDIYが施された伊藤氏のご自宅。

後藤:そういう発想ができる人が増えていけば、コミュニティ自体が活性化するし、リーダーも自然発生的に生まれていきそうですね。

伊藤:WOOD DREAM DECKには割とそういう人は参加してくれていますが、もっと増えるといいですね。またコミュニケーションサービスの「Discord(ディスコード)」を活用していますが、そのUIが使いにくいという点も、コミュニティの円滑さを妨げる一因だと思います。慣れない人にはちょっと親しみにくい部分がある。自分たちが目指すコミュニティに適したツールを選ぶというのも、これからの課題の一つです。

またコミュニティの活性化については、web3の「自律分散型」というのは、実は日本ではまだ受け入れられにくいのかなと感じています。例えば、プロフェッショナルが集まる中でトークンを配布し、それが直接インセンティブとなり参加が促進されるという世界観があれば成立するかもしれません。ただ、今の日本ではまずプロフェッショナルがその場に集まりづらいという状況があります。産業が縦割り構造になっているので、その枠を超えて自由に動き回るという習慣がない。そしてリーダーになる人がいないという課題もあります。その環境下では自律分散型ではなく、「中央分散型」をつくるべきだと思います。小さなプロジェクトの中心になるような、「やりたいこと」を臆せず発信できる場をどんどんつくっていって、小さな中央をいろんなところに分散させていく。目指すべきところはまずはそこなのかなと思っています。

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後藤:確かに、結局のところ中央で引っ張っていく人がいないと自律分散型も成立していかないですよね。

伊藤:完全な自律分散型は、パーパスやビジョンが中央になり、そこに賛同するプロフェッショナルが集まり解決していくというものですが、当然その核となるパーパスやビジョンの意義や社会的意味を相手にしっかり伝わるようにする必要があります。そこをうまく設計していくのが日本人はまだ苦手だなと思います。

後藤:そうかもしれません。さらに、いかに魅力的なパーパスが掲げられていても、それだけでたくさんの人が動くわけではなく、やはりそこに人と人のつながりがあるからこそ、そのコミュニティに関わってみようということが多い気がしますね。

伊藤:また日本人の原動力は「WILL」よりも「LIKE」や「LOVE」なのかなと感じています。サウナは最も分かりやすい例でしたが、やはりサウナ好きという人が集まり手伝ってくれました。

後藤:それは個人的にも共感できます。自分が好きなことや興味のあることだと動けるんですよね。そうだとすると、コミュニティの活性化にはどのような仕掛けづくりが必要なのでしょうか。

伊藤:まずは小さなアウトプットをたくさん出す。木を使ってこういうことができるというのをちゃんと発信していくことだと思います。TISでもサウナをつくったときにはプレスリリースを出して記者を呼んだりしましたが、そうやって予算をかけてでも、小さなアウトプットを社会に向けて出していくというのが大事だと思います。構想だけではなく実際に動いて木を使う取り組みをしていることを認知してもらえますし、それによって興味のある人たちとの出会いが生まれます。

後藤:WOOD DREAM DECKの発信で、私が外から見ていて一番魅力的に感じたのは、伊藤さんや吉井さんがすごく楽しそうにやっているというところでした。サウナも自分たちで設計してつくったハンガーラックの発信なども、めちゃくちゃ楽しそうで…。見ていると参加したくなりますし、次は何をするのかなと楽しみな気持ちになっています。

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後藤友尋/Bipass編集長

伊藤:それは私がやっているクリエイティブの部門でも重要視しているところで、自分たちが主体性を持って動いていくことが、一番説得力につながると思っています。パートナー企業やいろんな人を巻き込む上では、自分たち自身が当事者であることが大事なのだと考えています。

吉井:自分が当事者であるからこそ、誰かに説明するときにも言葉に気持ちが乗るし、相手も興味を持って聞いてくれるのだと思います。

デジタルでサポートしたい、「自分でつくる」が当たり前の未来

後藤:今後のWOOD DREAM DECKについて教えてください。

伊藤:WOOD DREAM DECKは会社として取り組んでいるプログラムなので、当然ちゃんとしたビジネスとして成立するものにしていきたいです。どこでマネタイズするかという課題はありますが、今は価値を生み出すことを最重要事項としてやっています。価値を生んでそれを循環させていくと、お金は自然についてくるはずなので。

後藤:吉井さんはフォレストリバイタライズ産業として、WOOD DREAM DECKとの関わりの中で、今後どのようなことを一緒にやっていきたいと考えていますか?

吉井:私たちの実証実験でもやりましたが、木と人のつながりやそのストーリーを木に紐づけるということを、WOOD DREAM DECKでもやってみようと話しています。WOOD DREAM DECKで使っているShopBotは全国各地にあり、データを共有すればどこでも同じものがつくれます。例えばそれぞれの地域でパーツをつくり、そこに関わった人やコミュニティのことを、NFCタグやQRなどデジタルで記録する。そして各地のパーツを集めて、一つの大きなアート作品のようなものをつくるという企画です。できあがった作品を見たら、そこに自分がつながっている気持ちになるのか、一緒に作品をつくった各地の人ともつながっている気持ちになるのか、どういうふうに人の気持ちが動くのか…。それを試してみたいと思い計画しています。

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横瀬町で地域資源を活用したクリエイティブなものづくりを行う「TATE Lab.」のShopBot。WOOD DREAM DECKでの木材加工にも使われている。

伊藤:デジタルで木に物語をつけていくというのは、いろんな発想ができそうですよね。自分の身近にある木の製品でも、自分のところに来るまでのストーリーが見えたらもっと愛着が湧くし、安易に捨てようとは思わない。使わなくなったら誰かに手渡したくなると思うだろうし、そういう形で大事に木を使っていくという文化を、デジタルでもっとサポートしていきたいです。

後藤:この先のビジネスやマネタイズモデルを確立していく上で、どのようなパートナーがいたらこの取り組みの促進が加速していくと思いますか?

伊藤:個人的には森林循環の川上から川下まで一気通関でつなげたいという思いがあり、木材活用のプレーヤーともう少しがっちりと手を組んで取り組みたいと思っています。すでに林業関係者や工務店などで興味を示してくださっている方もいて、どういう形で連携するのかを模索しています。今はまだ森林循環の中でも木を活用するというところを一生懸命やっていますが、最終的にはお金を生み出して森に還元する、木を伐って植えるところまでつなげていきたいです。

吉井:自立分散型の日本での難しさという視点では、海外ではそれぞれのプロフェッショナルが引っ張ってやっていく雰囲気がありますが、日本のプロフェッショナルはその道を極めるという考え方で、プロフェッショナル同士が対立構造になりがちという点があるのではないかと思います。これはSUNDREDで取り組んでいることでもありますが、プロフェッショナルとプロフェッショナルの間を取り持つような役割を担えないかと考えています。そうすると、お互いの主張をうまくつないで連携していくことができるのではないかと。

伊藤:それは重要な役割ですね。やはり従来の森林関係者以外のプレーヤーが入ることによって、新しい視点が生まれて価値の発見ができると思います。そうやって価値を生み出してお金に変えていく。

後藤:そういう意味でも、いろんな人が入ってきてコミュニティが広がっていくというのは大事なポイントですね。私たちダイセルでは、持続可能な未来に向けて「愛せる未来、創造中。」というタグラインを掲げています。WOOD DREAM DECKで目指す「愛せる未来」はどんなものでしょうか?

伊藤:やはり、自分たちがしたいことを考えて実行し、自ら実現していく。自分のライフスタイルに合うものを買うのではなく、「自分でつくる」ということを当たり前にしていきたいです。そういう未来になったらいいなと思っています。

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WOOD DREAM DECK|TIS株式会社

文:野村 智子/編集・写真:松岡 真吾

伊藤 淳

TIS株式会社/クリエイティブディレクター伊藤 淳

TIS株式会社/クリエイティブディレクター伊藤 淳

前職では自動車メーカーの研究部門にて、2輪自動車エンジンの動力性能、燃費、環境性能に関わるシステムの研究・開発を経て、人のコミュニティ研究やモビリティサービス研究に従事。TISでは、デザイン組織戦略の立案や、新事業やクライアント案件のコンセプトメイク、ビジョン策定を担当。現在は、クリエイティブディレクターとして、社会課題解決に焦点を当てて新価値と新事業の創造にチャレンジしている。

吉井 拓史

SUNDRED株式会社吉井 拓史

SUNDRED株式会社吉井 拓史

大学卒業後、日揮株式会社(現日揮グローバル株式会社)に入社。中東、東南アジア、オセアニア、北米のなど海外のプラント建設プロジェクトに従事。その後、森林をテーマに新規事業開発に携わり、社外では、経産省「始動」プログラム7期生シリコンバレー選抜、CHNAGE 2期 by ONE JAPAN、Sustainable Forest Action 3期などアクセラプログラムに参加。2022年5月よりSUNDREDにて「フォレストリバイタライズ産業」を始動。

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