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バイオマス

バイオマスとは?簡単に分かるようご紹介

バイオマスとは、生物資源(bio)の量(mass)を表す概念で、エネルギーや物質に再生可能な生物由来の有機性資源(石油や石炭などの化石資源は除かれます)のこと。具体的には、木材や海草、生ゴミ、紙、動物の死骸・ふん尿、下水汚泥、プランクトンなどが挙げられます。

バイオマスの種類

バイオマスの種類は主に下記の3種類に大別されます。

・廃棄物系バイオマス
 廃棄物として排出されたバイオマス
 例)生ごみ、家畜のふん尿、建設端材など


・未利用バイオマス
 活用されずに廃棄されているバイオマス
 例)稲わら、麦わら、もみ殻、放置林、間伐材、林地残材など

・資源作物
 資源としての活用を念頭に栽培されたバイオマス
 例)さとうきび、てんさい、なたねなど


バイオマスの使用用途

バイオマスは、燃焼時に発生した熱の利用や、その他さまざまな産業で利用されています。

例えば、サトウキビやキャッサバなどの非可食部分を化学的・生物学的に合成した「バイオマスプラスチック」。本来は捨てられる部分を活用した、言わば「リサイクル品」なため、環境に優しい素材として、レジ袋や商品包装、パソコン部品など、さまざまな材料に使用されています。

そして、バイオマス資源をもとに作られた「バイオ燃料」。自動車や飛行機などで使われる「バイオエタノール」やディーゼルエンジン用の「バイオディーゼル(BDF)」など、さまざまな種類があり、石油に代わる「非枯渇性資源」として世界的に注目を集めています。なお、国内でも、1997年に京都市がバイオ燃料事業を開始し、2020年には国内バイオベンチャーの株式会社ユーグレナがバイオ燃料の製造・販売を実施するなど、多方面での導入が検討されています。

バイオマスと地域活性化

間伐材や家畜のふん尿といった資源は、地方の農村や漁村に多く存在しています。そのため、バイオマス資源は、地域活性化の起爆剤となることが期待されており、エネルギーとしてうまく利活用できれば、地域発の新たなエネルギー事業をはじめることも可能です。

中でも注目を集めているのが、林地残材や間伐材、製造工場から出た木くずをはじめとする「木質バイオマス」。安定的な供給・保存が可能なほか、森林資源を有効活用できるため、燃料として利用したり、裁断してチップとして利用したりと、幅広い活用が期待されています。

バイオマス発電とは?

バイオマス発電は、バイオマス資源を活用した発電。再生可能エネルギーのひとつに数えられ、環境に優しい発電方法として注目を集めています。

バイオマス発電は、木質バイオマスや稲わら、鶏ふん、建設廃材などの乾燥したバイオマス資源を砕いてチップ・ペレットにして直接燃焼する方法や、食品加工廃棄物や家畜のふん尿、下水汚泥などを微生物の働きで発酵させ、発生したガス(バイオガス)を燃焼させる方法など、さまざまな方法があります。

日本では、2012年に再生可能エネルギーの「固定価格買取制度( FIT )」が導入されて以来、バイオマス発電の稼働量が急激に増加。国内では、2021年9月時点で、計512カ所、303万kWのバイオマス発電所が稼働し、同じく780カ所803万kWが認定されています。

また、2018年に閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」には、バイオマス発電を含めた再生可能エネルギーの主力電源化が明示されています。政府では現在、2030年度の再生エネルギー比率を22~24%と見通しており、その中で、バイオマス発電は3.7~4.6%(2017年度は2.1%)にまで拡大すると予想しています。

バイオマス発電のメリット

さまざまな有機性資源を活用できるバイオマス発電には、たくさんのメリットがあります。

一つ目は、地球温暖化防止への貢献です。バイオマスは燃焼させると二酸化炭素が発生しますが、成長過程で二酸化炭素を吸収する木材などを材料として使っているため、総体的にみれば大気中の二酸化炭素の量に影響を与えません。そのためバイオマスは、カーボンニュートラルな資源と注目されていて、化石燃料からバイオマス発電に移行することで温室効果ガスの排出量の削減が期待できます。

二つ目は、地域の未利用資源の活用です。日本は、3分の2を森林が占める世界有数の森林国。森林資源の総量は49億立方メートルと言われ、しかも毎年1億立方メートルずつ増加していると言われています。このうち、半分以上が利用に適した時期を迎えた木であり、間伐材を含め多くの資材が残っています。これらを木質バイオマスとして有効活用することで、循環型社会を促進できるほか、地域活性化にも貢献できます。

三つ目は、安定的な電力確保です。バイオマス発電は、気候の影響を受ける太陽光発電や風力発電とは異なり、バイオマス資源が確保できれば安定的に電力の供給が可能です。

バイオマス発電のデメリット

一方、バイオマス発電にはデメリットもあります。

一つ目はコストです。バイオマス資源はさまざまな地域に分散しているため、運搬や管理のコストがかさんでしまいます。そのため、廃棄物が発生しやすい場所に発電所を建設する必要がありますが、管理などの問題で廃棄物によっては人の密集する地域には建設できません。この問題の解決には、地域の業者との連携や、効率的な運搬・管理システムの構築が必要不可欠です。

二つ目は発電効率です。バイオマス発電は、安定的な電力供給が可能ですが、水力発電が80〜90%、風力発電が約40%であるのに対して現状の発電効率は20%程度と言われています。この点もまだ改善の余地が残されています。

ダイセルのバイオマスへの取り組み

daicel

© Daicel Corporation

ダイセルでは、中期戦略Accelerate2025-Ⅱにおいて、「バイオマスバリューチェーン構想」を提唱しています。本構想は、樹木を"超穏和"に溶かして再構成する技術「ウッドケミカルズ」により、森の木を石油化学原料の代替として活用するとともに、二酸化炭素を吸収しやすく土壌の保水能力が高い健康な森の復活や産業資源の循環、地域経済の活性化を促進する構想です。

また、ダイセルでは、第四次長期ビジョン「DAICEL VISION 4.0」において、セルロースなどの脱石油につながる天然由来資源の有効活用を推進する「新バイオマスプロダクトツリー」を提唱。本構想を実現するオープンイノベーション拠点として、「バイオマスグリーンイノベーションセンター」を金沢大学内に設置しました。本研究所では、「バイオマスバリューチェーン構想」「新バイオマスプロダクトツリー」の社会実装を目的に、国内の森林資源、穀物資源、海洋資源を、環境にやさしい次世代化学変換プロセスでさまざまなバイオマス新素材に変換する技術を京都大学や金沢大学との共同研究により推進しています。

まとめ

本記事では、ダイセルの事業のキータームでもあるバイオマスに着目し、その知られざる魅力を存分にご紹介しました。環境負荷の低さや未使用資源の有効活用、地域活性化への貢献など、いいことづくめのバイオマス。今後はさらなる市場規模の拡大が期待されます。

なお、ダイセルでも、各種研究機関と連携し「バイオマスバリューチェーン構想」を推進しています。バイオマスとダイセルがつむぐバイオマスエネルギーの「愛せる未来」に、ご期待ください。

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