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セルロース

セルロースとは?

セルロース(cellulose、繊維素)は植物の細胞壁や繊維の主要な構成成分で、自然界にもっとも多く存在する有機化合物です。化学的には、多数のβ-グルコース分子がグリコシド結合により直鎖状に重合した天然の高分子化合物の一種で、非常に巨大な分子構造をしています。水や油に溶けない(不溶性)、水を吸うと膨張するなどの特性を有します。

セルロースとは、植物に含まれているもの?

セルロースは、植物の2分の1〜3分の1を占有する主成分で、二酸化炭素と水から光合成によって生成されます。含有量は植物の年齢や種類によって異なりますが、ジュートでは65%、亜麻(あま)では80%、木綿では98%に及びます。
セルロースは自然界では一分子で存在せず、多数のセルロースが束になり、電子顕微鏡で観察できるくらいの太さになった「セルロース微繊維」を形成しています。なお、「セルロ-ス微繊維」を形成するセルロース分子の数は、伸長中の細胞の細胞壁では 2,000〜6,000 分子、伸長を終えた細胞では 10,000 分子以上になり、植物の伸長を促すとともに細胞の強度を高める役割を担っています。
また、樹木の場合は、その7割がセルロース類で構成され、繊維状のセルロース同士が束になって高強度の細胞組織(高次構造)を作っています。樹木が地面に根を張ってしっかりと立っていられるのはセルロースのおかげなのです。

セルロースとは、紙にも使用されている?

紙の原料であるパルプは、純粋なセルロースから構成されています。パルプを生成するには特殊な薬剤で加熱処理を加えて木材からセルロース同士を接着している余分な原料(リグニンなど)を取り除き、繊維をバラバラに分解する必要があります(パルプ化)。
紙の製造方法としては、この後パルプを叩いて繊維の長さを短い枝状にし(叩解)、熱さが均一になるように水の中で泳がせます(漉き)。バラバラのセルロースを水に浸すことでセルロースの水酸基同士が結合し、1枚の紙ができあがるのです。
紙はセルロースの繊維同士がゆるく絡み合って層を成し、多孔質構造を構成しています。この構造により、独特の風合いや、柔軟性と親水性といった紙独自の特性が生まれます。また、セルロース分子には親油性がある>CHー(メチリジン基)があり、これにより油性インキの印刷が可能になります。

セルロースとは、体に悪いのか?

食品に含まれるセルロースは、「食物繊維」として知られ、大豆やごぼう、穀類などに多く含まれています。食物繊維は体内では分解されずに膨張し、便の体積を増やして腸を刺激するため、便通改善や便秘改善の効果が期待されています。また、食物繊維は腸内で善玉菌のエサ(プレバイオティクス)となるため、腸内フローラを整えるためにも積極的に摂取したい栄養素の一つです。
近年は、加工されたセルロースが「加工セルロース」として食品添加物の素材に使用されており、不明点も多いことから人体への影響が危惧されています。しかし、これらは厚生労働省で安全性が確認され、使用を認められており、実験により体内動態や毒性、発がん性、遺伝毒性など多数の項目で安全性が確認されています。そのためセルロースを過剰に危険視する必要はありませんが、心配な方は食品の原材料シールを確認するとよいでしょう。

セルロースの身近な使用用途

【使用用途①】セルロース ナノファイバー
セルロースナノファイバーは、セルロースをナノ(1ナノは10億分の1)メートル単位までほぐして微細化(ナノ解繊)した素材です。天然物でありながら鋼鉄の5分の1の軽さで5倍の強度を持ち、熱で膨張しにくい、吸水性が高いなど、さまざまな特性を持ちます。また植物を原料としているため、簡単に手に入るのも特徴です。
多様な機能への応用が期待されるセルロースナノファイバ―は、タイヤやボールペン、シャンプー、化粧品といった日用品や食品分野での応用が進んでいます。また、強度を活かし、補強材のほか、ディスプレイなどの光学材料やメモリー素子などの電子材料、太陽電池、吸水性を生かした増粘剤など、工業分野でも幅広い用途で用いられています。

【使用用途②】セルロース ファイバー
セルロースファイバーは、パルプを利用した断熱材です。1950年代にアメリカで開発されて以来、その断熱性能の高さから世界中で使われています。未出荷の新聞紙を裁断して製造されるため、製造時のエネルギーがほとんど必要なく、資源枯渇の心配もないのが特徴です。
セルロースファイバーは、天然素材の特性を活かした優れた調湿性と防音性を持ちます。また、難燃剤としてホウ酸を添加しているため熱に強く、ガスバーナーで直接燃やしても燃え広がらないほか、ゴキブリやシロアリを寄せ付けません。セルロースファイバーはこういった数々の優れた特性から、「魔法の断熱材」とも呼ばれています。

【使用用途③】セルロース スポンジ
セルローススポンジは、パルプなどの植物繊維で作られたスポンジです。 吸水性に優れているため食器などに水滴が残りにくい、水分が乾きやすいため雑菌が繁殖しにくい、燃やしても有害物質が出ないため環境に優しいなど、さまざまなメリットを持つスグレモノです。
また、手触りがソフトなため食器や浴槽を傷つけず、洗車用スポンジとして使えるほか、ワックス塗装にも使えます。

ダイセルはセルロースをどのように使用しているか

ダイセルでは、木材を常温で液化する化学技術「ウッドケミカルズ」をベースに、森を健康で若い森に再生し、産業資源を循環させて地域経済を活性化させる「バイオマスバリューチェーン構想」を提案しています。その一環として、長年の主力商品である「酢酸セルロース」の研究をもとに、「CAFBLO™(キャフブロ)」や「BELLOCEA®(ベロセア)」などの新素材を開発してきました。

「酢酸セルロース」は、植物由来のセルロースに酢酸を配合した素材です。優れた耐薬品性と難燃性を持つほか、日光に対する抵抗力が大きく長期間使用できることから、繊維や液晶保護用のフィルム、化粧品など、幅広く利用されています。また、セルロースと酢酸に分離して自然に戻るエコフレンドリーな素材としても注目を集めており、土壌やコンポストのほか、海洋でも生分解されることが確認されています。

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「CAFBLO™」は、「酢酸セルロース」の分子構造を変化させた「高生分解性酢酸セルロース」。製品の機能や品質を保持したまま海水中での生分解性を従来の2倍近くまで向上できるため、海洋プラスチック問題の解決への貢献が期待されています。

また「BELLOCEA®」は、「酢酸セルロース」を独自の技術で微粒子状に加工した「酢酸セルロース真球微粒子」。表面を揃えることで、なめらかで柔らかい触感と伸びの良さを実現し、環境に優しい天然由来の素材が求められる化粧品業界などでの活用が期待されています。

まとめ

食品から紙、ナノファイバーまで、私たちの生活にはなくてはならないものであるセルロース。本記事では、さまざまな事例をもとに、加工次第で自在に変化するセルロースの素材としての魅力を存分にご紹介しました。そして、何より重要なのは、セルロースが生分解性で、エコフレンドリーな素材であること。SDGsが叫ばれる今後の世界では、救世主となるかもしれません。
ダイセルでは現在、セルロースを軸とした資源循環を推進しています。セルロースとダイセルがつむぐ素材の未来に、ご期待ください。

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