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カーボンフットプリントとは?
近年、環境問題への意識が高まる中、平成13年に施行された循環型社会形成推進基本法において「製品等の生産者が、その製造段階だけでなく使用後の環境負荷の低減(適正なリサイクルや廃棄処分)についても一定の責任を負う」という「拡大生産者責任(EPR :Extended Producer Responsibility)」の考え方が提唱されました。
2016年に採択された「パリ協定」では、世界の二酸化炭素排出量(CO2排出量)と気温に関連して温室効果ガスの削減目標を定めています。
わたしたち消費者側も環境に配慮した商品やサービスを選択できるようにするため、製品のライフサイクル全体の環境負荷に関する情報の表示を行う動きも出てきています。
今回はそのCO2排出量を見える化したカーボンフットプリントの解説をします。
カーボンフットプリントの意味
カーボンフットプリント(CFP)とは、Carbon Footprint of Products の略称。「炭素の足跡」という直訳のとおり、世の中に排出している温室効果ガス(GHG)の量が、どの段階でどれだけ多く排出されているのかを比較するために数値化の方法が生まれました。
すべての商品やサービスは原材料調達から、生産時、輸送時、使用時に加え廃棄・リサイクルに至るまで多くのエネルギーが必要となります。そのエネルギーは、主に石油や石炭、天然ガスなど化石燃料から得られ、地球温暖化の原因となる温室効果ガスを大気中に排出します。その商品やサービス全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算し、分かりやすく数値で可視化する仕組みのことをカーボンフットプリントといいます。
カーボンフットプリントの目的
カーボンフットプリントの目的は、事業者と消費者の間でCO2排出量削減行動に関する「気づき」を共有することですが、段階的には以下のように考えられます。
1)事業者は事業におけるCO2排出量を算出し、どの段階でどれだけ排出されるかを認識することでCO2排出量削減に向けての対策を講じる。
2)サプライチェーンを構成する企業間でCO2排出量削減に向けての協力・推進を行う。
3)消費者も商品やサービスのCO2排出量を知り、選択することで、より低炭素な消費生活への行動変革を目指す。
カーボンフットプリントのメリット
自社商品・サービスのCO₂排出量を試算することで、その後事業者が排出削減に向けた取り組みが可能となります。また、商品・サービスに表示・公開することや事業者の取り組みを広く知らしめる広報活動を行うことで、消費者が事業者に共感・支持し、購買につながる可能性が生まれます。削減できない分についてはオフセット(相殺)することも可能です。
さらに、環境問題に取り組む姿勢・CSR(社会的責任)が株価やブランディング(企業イメージ)への貢献もメリットといえます。
カーボンフットプリントの計算方法
CO2排出量の算定はライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment:LCA)と呼ばれる手法で、あらゆる製品やサービスのライフサイクル(資源採取、原料生産、製品生産、流通、消費、廃棄、リサイクル)の全体、もしくはその特定の工程の環境負荷、自然由来(家畜、その他の農業プロセスによる放出など)を含むCO2排出量を定量的に評価します。
LCAについては、ISO(国際標準化機構)による環境マネジメントの国際規格の中で、ISO規格が作成されており、日本でもCSR報告書などでLCAが取り入れられています。
LCAはカーボンフットプリントだけでなく、オゾン層破壊や騒音などの環境も算定が可能であるため、環境問題への関心が高まる昨今、LCAは環境負荷をより包括的に把握する手法として注目されています。
カーボンフットプリントマークの使用を許諾された商品例
■食品
上級森の薫り ロースハム(日本ハム)、上級森の薫り あらびきウィンナー(日本ハム)、トップバリュ ごはん 200g(イオン)、ポテトチップス コンソメパンチ(カルビー)、ポテトチップス うす塩(カルビー)、カンロ飴(カンロ) サラダうす焼(亀田製菓)、滋賀県産 コシヒカリ(立命館大学、イオン株式会社)、トップバリュキャノーラ油(イオン株式会社)、あきたこまち(イオン株式会社)など
■家電、日用品
シチズン エル チタン縁無モデル2(シチズン時計株式会社)、フロアタイル IS-900(株式会社サンゲツ)、 PrinterXerox Prime Link B9136 Copier/Printer(富士フイルム ビジネス イノベーション株式会社)、Canon imageRUNNER ADVANCE 4245F-R(キヤノン株式会社)、CO・OP 液体せっけん おおぞら 800m(日本生活協同組合連合会)など
上記のようなCFPマーク認定商品に加え、例えばパナソニックでは、自分が生活で排出しているCFPを自社の家電商品で把握し、その量に相当する金額でCO2吸収に向けた取り組みを支援できる「Carbon Pay」というサービスで脱炭素社会に向けた意識とアクションを習慣化する仕組みを提供しており、今後はより利用者・消費者とのコミュニケーションを受けて、事業者側からの「(CO2排出量を)知ったあとの行動変容提案型」の商品やサービスが追随することが期待されています。
カーボンフットプリントのCFP認証マークとは?
CO2の見える化を推進し、その削減を目指すため経済産業省をはじめとした4省庁が、2009年度から2011年度にかけて実施した「カーボンフットプリント制度試行事業」。その事業において用いたマークを国から継承し、新たに“CFPプログラム参加マーク”として2012年度からは社団法人産業環境管理協会が運用を開始しました。
カーボンフットプリントの表示(CFP宣言)を希望される事業者には、まず製品(=商品・サービス)ごとのカーボンフットプリントの算定・宣言に関するルールである「カーボンフットプリント製品種別基準(CFP-PCR:Carbon footprint of a Product- Product Category Rule)」を策定し、CFP-PCRの認定を受ける必要があります。続いて、このCFP-PCRに基づいてCFPを算定します。この算定結果の検証を受け、登録・公開手続きおよびCFPマーク使用許諾契約を行うことでCFPマークが付与され、製品に表示・活用することができます。
数値を表示することでCO2の排出量が分かるようにするこれまでの使用方法に加えて、"量り"をモチーフに親しみやすいCFPマークのデザインにすることで事業者と消費者・利用者間における環境負荷削減努力のための相互理解、コミュニケーション促進を図る目的で、また、CO2の排出量削減に積極的に取り組む事業者様の証としても使用できるよう、多様な活用で国内外への認知度向上を目指しています。
カーボンフットプリントが大きい食品
食システムからのCO2排出量は、世界のGHG排出総量の約3分の1と大きく、食システムの脱炭素化には「食行動変容」が不可欠です。食品の過剰生産・ロス問題・過剰摂取の抑制に加え、カーボンフットプリントが大きい畜産物の消費削減、そして植物由来食品へのシフトを真剣に考える必要に迫られています。
食品の中で、カーボンフットプリントが大きいのは、上から肉類、加工肉、魚介類、乳製品です。動物性食品のカーボンフットプリントは、植物性食品よりかなり大きく、そのうち4割程度が畜産(特に牛・豚・羊)に起因しており、カーボンフットプリントを食行動からの削減(過剰摂取抑制・肉消費削減)と考えた場合、植物性食品や菜食への行動変容が最も効果が高いと言われています。
日本はカーボンフットプリントが少ない?
日本人はライフスタイル・カーボンフットプリントを2030年までに67%、2050年までには91%削減する必要があると言われています。平均的な日本人のライフスタイル・カーボンフットプリントの約70%は「食」「住居」「移動」に関連し、これらの領域における脱炭素型の暮らしへの転換にはすでに実践可能な複数の選択肢が存在します。
脱炭素型の暮らしを実現するためには、個人や家庭が利用する製品・サービスのライフサイクルと、個人や家庭によるライフスタイルの両輪の変革が不可欠であり、事業者と利用者・消費者が相互で協力することで環境に配慮した循環が重要です。しかし、正確な排出量データ取得の困難性や競合商品・外国との競争力等の観点から、カーボンフットプリント制度の導入に反対する業界もあり、脱炭素社会に向けての「見える化」やCFP認証商品やサービスがまだまだ少ないのが現状です。
まとめ
2018年10月、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は『1.5℃特別報告書』において、人々の行動とライフスタイルの変化が地球温暖化を1.5℃未満に抑えるための緩和の実現可能性を高める促進条件になると指摘しました。
今後は私たち利用者・消費者側のライフスタイル変容への移行のテスト段階に入ったといえるでしょう。未来の地球への想いを馳せ、先進国からサステナブルなライフスタイルに行動変容することが鍵となってくるでしょう。
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