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オープンイノベーション

オープンイノベーションとは?

オープンイノベーションとは、自社以外の企業や研究機関と連携を図り、知識や技術といったリソースを相互提供することで、製品開発や技術改革、研究開発や組織改革につなげ、自前主義からの脱却を図ること。 2003年にハーバード大学経営大学院の教授であったヘンリー・チェスブロウによって提唱されました。

オープンイノベーションの起源

ヘンリー・チェスブロウは、自身の著書で、下記のように「オープンイノベーション」を定義づけています。

組織内部のイノベーションを促進するために、意図的かつ積極的に内部と外部の技術や アイデアなどの資源の流出入を活用し、その結果組織内で創出したイノベーションを組織外に展開する市場機会を増やすことである。
「OPEN INNOVATION―ハーバード流イノベーション戦略のすべて (Harvard business school press)」より

同氏によれば、1980年代以前の欧米では、イノベーションは自社の既存の製品や技術をアップデートする形が一般的でした。同氏はこの垂直統合型・自前主義型のイノベーションスタイルを「クローズドイノベーション」や「リニアイノベーション」と呼んでいます。

しかし、1980年代以降、東アジアが技術を磨き欧米の競争相手として台頭したことで、欧米で知的財産権の保護強化と独占禁止法の緩和が推進され、社外リソースや知識によりイノベーションを起こす「オープンイノベーション」が奨励されるようになりました。

オープンイノベーションの課題と注意点

効率的なイノベーションを図れることから世界的に注目を集めているオープンイノベーションですが、自社のリソースの提供をネガティブに捉える向きも多く、日本国内での導入率はまだあまり高くありません。本章では、日本国内の導入率を引き上げるためにクリアする必要がある課題について紹介します。

・ビジョンを明確にする
オープンイノベーションに取り組むにあたり、その動機や目的、効果をあらかじめ明確にしましょう。これを行うことで、自社の活動や成果をどう評価すればよいか分からないといった事態を防ぐことが可能になるほか、プロジェクトメンバーのモチベーションを維持できます。

・キーマンとなる人材を確保する
オープンイノベーションの課題として、既存事業が優先され、オープンイノベーションを推進する組織が人材不足に陥るケースがあります。とりわけ大企業の場合は、プロジェクトの旗印となる人材が欠かせません。社外とスムーズに連携を図れる推進役がきちんと確保できているか、あらかじめ確認しておきましょう。

・提供リソースと必要な外部リソースを明確にする
開始にあたっては、あらかじめどんな技術が必要なのか、自社の強みは何なのかを明確にしておきましょう。必要な技術が何なのかを精査されていない場合、プロジェクトの途中で目的の技術が社内でも調達可能であると判断され、事業そのものが中断してしまうケースもみられます。

・社内の理解を得る
オープンイノベーションは企業全体で取り組むべき課題であり、社内でのスムーズな連携が必要で、社内全体で理解を得る必要があります。導入前のガイダンスや情報共有はもちろん、導入後もフィードバックや組織の見直しを行いましょう。

オープンイノベーションの成功事例

本章では、国内外を問わず、実際にオープンイノベーションに成功した企業を紹介します。

精密化学大手のA社
創業当時に写真用のフィルムを創造する会社だったA社は、2006年に化粧品業界に参入。著名な化粧品会社の色評価技術を用い、毛髪内に染み込んで鮮やかな色を出す「レインボー染料」を開発しました。また、ビジネスパートナーとの交流を通じて、同社の技術基盤と社外のニーズをもとに新たなイノベーションの創出を目指し共創する場「Open Innovation Hub」を設立。暮らしや社会、地球環境に貢献する新たな価値と発想を創出しています。

総合電機メーカーB社
世界有数の総合電機メーカーであるB社は、従来から研究者の視点を融合した顧客協創方法論を確立・活用。2019年にはオープンイノベーションの研究開発拠点を設置し、国内外の大学や研究機関、スタートアップなどと提携しています。同社では、この仕組みを利用し、1000件以上の新たなソリューションを世に送り出してきました。

通信業界大手のC社
携帯電話サービスを提供するC社では、目標の達成のためにオープンイノベーションを導入。海外の最先端の企業との合弁企業や業務提携により、国内で最先端のサービスを展開しています。さらに2019年には、オープンイノベーションを加速するビジネスパートナーシッププログラムを開始。すでに100社以上が参加しています。

ガス業界大手D社
西日本に本社を構えるD社は、2009年から「オール電化」の浸透をきっかけにオープンイノベーションを推進。騒音に対して逆位相の音を重ねることで相殺し騒音を低減する機器や、高地を再現した低酸素空間でトレーニングが行える新業態のスポーツジムなど、さまざまなサービスが生まれています。

アメリカの大手電機メーカーE社
世界最大級の総合電機メーカーとして知られるE社は、アメリカでもスタートアップやVCとの協業を積極的に行っている企業として知られ、2014年には工業デザイナーやエンジニア、学生など世界中のユーザーからさまざまな製品アイデアを募り、協業するオープンコミュニティを設立。同コミュニティでは、これまで家庭用製氷機などさまざまな製品を開発しています。
https://firstbuild.com/

オープンイノベーションのメリット・デメリット

オープンイノベーションのメリット

オープンイノベーションを推進すると、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。本章では、オープンイノベーションのメリットについて紹介します。

・技術や知識が取得できる
オープンイノベーションの最大のメリットは、従来の事業展開では取得できなかった知識や技術を獲得できることでしょう。これにより、新しい商品やサービスの開発や、販促に必要なマーケティングの知見を導入することが可能になります。企業の可能性を拡張できる点がオープンイノベーションの大きなメリットです。

・低コストで短期間の開発を実現できる
他社の既存の技術をベースに進められるため、新規で開発するよりも短い期間で開発が進められます。また、外部リソースも利用できるため、専門職の雇用にかかる人件費や研究開発費も削減できるほか、既存の事業が参考にできるため、いち早く結果につながります。

・事業推進のスピードを向上できる
オープンイノベーションでは、外部リソースを活用することで、事業推進のスピードアップが望めます。また、さまざまな視点からの情報量が増えることから、消費者のニーズを的確に把握できます。

・自社の強みと弱みを精査できる
オープンイノベーションでは、自社のコアコンピタンス(強み)をアピールでき、新たな事業を開始する際の融資にもつなげられます。また、自社の弱みを意識し強化改善することで、戦略を見つめ直すきっかけにもつなげられます。

オープンイノベーションのデメリット

さて、多くのメリットを期待できるオープンイノベーションですが、デメリットも存在します。本章では、デメリットについて説明します。

・利益率が低下する
オープンイノベーションは、自社のみで研究開発を行った場合とは異なり、連携先と利益配分をする必要があります。しかし、既存の事業でかかる時間やコストを削減できる側面があるため、一概にデメリットであるとは言い切れない場合があります。

・自社の開発レベルが低下する
オープンイノベーションはさまざまな恩恵を与えてくれますが、それだけに過度に依存してしまうと自社の開発レベルが向上しなくなる可能性があります。これを避けるには、補う技術が本当に自社のリソースでは補えないのか十分に精査する必要があります。

・情報漏洩のリスクが高まる
オープンイノベーションでは、自社のアイデアや技術を他社に共有するため、情報漏洩のリスクが高まります。連携時には、共創パートナーだからといって油断せず、必要以上の情報を共創企業に伝えないように区別しお互いに契約を交わし、セキュリティなどを強化しましょう。

・企業間のトラブルに発展する可能性がある
オープンイノベーションでは、クローズドイノベーションに比べて情報が複雑になるため、さまざまなトラブルが起こりやすくなります。とりわけありがちなのが費用負担や利益配分に関するトラブルです。あらかじめ事前にかかるコストを洗い出し、利益配分を契約で定めておきましょう。

ダイセルのオープンイノベーションの取り組み

ダイセルでは2017年に新事業の研究開発と量産化の加速を目的に、兵庫県姫路市の「総合研究所」と「姫路技術本社」を再配置し「イノベーション・パーク」に統合。国内外のお客様と共同で研究開発ができるオープンラボ設備を設置しました。また、それに伴い、5階建ての新執務棟「アイ・キューブ(iCube)」で業務を開始しています。

アイ・キューブ(iCube)

「iCube」は、ダイセルの技術スタッフが同じ執務室に集まり、営業や支援などの社内関連部門や、社外のお客様、協力会社様とコミュニケーションが図れる建屋施設。「Innovation for Production」「Process」「Product」という3つのイノベーションが由来となっており、革新を志すダイセルスピリッツを体現しています。

別々の拠点にいた研究開発、生産技術、エンジニアリング、環境・安全などの技術スタッフを終結させることでワークスタイルの変革を促し、生産性を飛躍的に向上させるとともに、社外との「協創・協働・協業」により新たな価値を創出します。

まとめ

自社のみならず社会にも多大な恩恵をもたらしうるオープンイノベーション。しかし、その実施には、社内での十分な検討など、入念な下準備が必要なことも確かです。本記事では、そんなオープンイノベーションについて、注意点や成功事例を交えつつ、詳しく解説しました。

なお、本記事では、併せてダイセルのオープンイノベーションの取り組みについても紹介しました。ダイセルが紡ぐイノベーションの未来にご期待ください。

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