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OD錠

OD錠(口腔内崩壊錠)とは?

OD錠(口腔内崩壊錠:Orally Disintegration)とは、口の中でラムネ菓子のように速やかに溶けて、水なしで飲める錠剤のこと。従来の錠剤やカプセル剤はコップ1杯程度の水やぬるま湯で服用する必要がありましたが、OD錠は口の中の唾液で数十秒で自然に崩壊するため、唾液や少量の水分があれば服用できます。

OD錠(口腔内崩壊錠)の特徴

OD錠は水なしで服用できるため、高齢者や小児など、薬剤の嚥下(えんげ)能力(食べ物や薬を飲み込む力)が低下した患者でも飲み込めるのが特徴で、場所を選ばずに服用できるため頓服薬にも適しています。

OD錠は、1997年に医療用医薬品として販売され始めました。近年では薬の形や投与の仕方を工夫して飲みやすくしたり、薬の効果が高められる薬も開発されています。

OD錠(口腔内崩壊錠)の効果と注意点

口腔内崩壊錠は、従来の水で飲む錠剤と同等性が確認されており、効果に差はありません。なので、通常の錠剤からOD錠に変わっても、今まで飲んでいる薬と同じ効果が得られます。また、水で飲んだ時と水なしで飲んだときの同等性にも差がないことが確認されており、他の薬剤と一緒に水で飲んでも差し支えありません。

ただ、すぐに溶けるからといって薬剤に即効性があるわけではなく、作用までの時間は一般的な錠剤と変わりません。

また、服用上の注意点は、口腔粘膜からは吸収されないため、しっかり飲み込む必要があること、寝たきりの患者など寝たままの状態で水なしで服用させないこと、吸湿性が高いOD錠の場合は壊れやすいので飲む直前に包装から取り出す必要があることなどが挙げられます。

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OD錠(口腔内崩壊錠)の種類

口腔内崩壊錠は、OD錠以外にも、下記のような名称で呼ばれる場合があります。

・D錠(Disintegrating):崩壊錠
・RM錠(Rapidly Melt in Mouth):速溶錠
・RPD錠(Rapid Dissolution):速崩壊錠

このうち、OD錠(口腔内崩壊錠)とRM錠(速溶錠)は、水なし水ありの区別なく生物学的同等性試験に適合しているため、水なしで服用可能です。なお、これらとは別の速崩型の錠剤は、必ず水で服用する必要があります。薬剤ごとに文書で確認できるので、水なしで飲めるかどうかは薬剤師に確認してください。

また、水なしで服用できる薬剤は、OD錠以外にも下記のようなものがあります。

・チュアブル錠
噛み砕いて唾液で溶かして飲み込む錠剤。OD錠は水での服用も可能ですが、チュアブル錠はあくまで噛み砕いてから嚥下する必要があります。OD錠同様、嚥下が苦手な高齢者や子ども用の薬や、錠剤のサイズが大きくなってしまい飲み込みづらい薬に用いられます。

舌下錠(ぜっかじょう)
薬剤を嚙み砕かずに舌の下に入れて唾液で溶かすことで、有効成分を口腔粘膜から急速に吸収させる錠剤。口腔粘膜からの吸収は早く、小腸や肝臓での分解・代謝を経ずに効果を発揮するため、即効性を要する狭心症発作時の薬などに用いられます。

バッカル錠
薬剤を嚙み砕かずに、頬と歯茎の間のくぼみに入れて唾液で溶かすことで、有効成分を口腔粘膜からゆっくり吸収させる錠剤。炎症を止める酵素やステロイドホルモン剤として用いられます。

なお、口の中で速やかに溶ける薬剤には、OD錠のほかにフィルム剤型の口腔内崩壊フィルム剤もあります。

OD錠(口腔内崩壊錠)の開発

OD錠が開発された1980年代当時は、強度が低く、錠剤をシートから取り出す際に欠けてしまうといった問題があり、速やかな崩壊性と硬度の向上の両立が課題となりました。そこから、加湿した顆粒を圧縮して乾燥させる方法や、顆粒を低圧で圧縮成形した後に加湿し再乾燥する方法などが開発されました。

しかし、生産効率や製造コストの観点から、通常の錠剤と同強度のOD錠の生産が求められ、工程の短縮が期待でき、熱や水に弱い原料でも扱える直打法(原料を混合した粉末を直接打錠する方法)が主流に。現在は、微粒子コーティング技術で苦味マスキング(苦い薬をマスクして苦く感じさせない手法)を施したOD錠も開発されています。

OD錠(口腔内崩壊錠)のメリット・デメリット

さまざまな服用のニーズに応えるOD錠ですが、デメリットも少なからずあります。本章では、OD錠のメリットとデメリットについて分かりやすく説明します。

OD錠(口腔内崩壊錠)のメリット

OD錠の最大のメリットは、水なしで飲めることでしょう。錠剤は、投与量が正確で手軽に服用できるため内服薬の中で最も好まれる薬剤ですが、嚥下が難しい高齢者や小児患者には服用しにくい場合があります。一方OD錠は、嚥下能力が低下した小児や高齢者のみならず、人工透析や心臓や肺のむくみで水分の摂取制限をしている人、夜中のトイレが心配で寝る前に水を飲みたくない人、そもそも水を飲むことが難しい人など、さまざまな服用のニーズに応えます。

また、手元に水がないときでも飲み込めるため飲む時間と場所を選ばず、外出先などでの服用に適しています。そのため、車で乗り物酔いをした際の酔い止めや下痢止めのほか、寝る前に服用する睡眠薬などにも用いられています。

なお、OD錠は水にすぐ溶けることから、簡易懸濁法(薬剤をそのまま 55℃程度のお湯に入れて溶かし、チューブから注入する方法)にも用いられます。

OD錠(口腔内崩壊錠)のデメリット

OD錠の最大のデメリットは、吸湿しやすいという点が挙げられます。OD錠は一般的な錠剤と比較して速やかな崩壊性が求められているため、通常の錠剤と比べると壊れやすいのです。中には、外気に触れたら即座に服用する必要があるものや、一包化が難しい薬剤も少なくありません。

また、OD錠は、錠剤が口の中で崩れるため、原材料の味や食感を直接感じる場合があります。近年は飲みやすい味付けの薬も増えていますが、食感や味を不快に感じる場合も少なくありません。なお、複数の錠剤を同時に飲む場合は、味が混ざって飲みにくくなる場合もあります。

他にも、唾液が少ない人の場合は服用が難しい、OD錠化されている薬剤がまだまだ少ないなどの課題もあります。

ダイセルが開発したOD錠(口腔内崩壊錠)

ダイセルでは、口腔内崩壊錠の賦形剤(薬剤の成形の向上や服用を便利にするために加える添加剤)を製品として販売しています。今回は、OD錠用賦形剤「GRANFILLER-D(グランフィラーD)」、「HiSORAD(ハイソラッド)」、サプリメント用速崩壊性賦形剤「SWELWiCK(スウェルウィック)」について紹介します。

「GRANFILLER-D」
崩壊剤の機能を併せ持つ賦活剤。API、甘味剤、滑沢剤などを混合するだけで、直接打錠によるOD錠の製造に使用でき、水分と接触するとクリーム状に崩壊します。また、「GRANFILLER-D」を用いたプラセボ錠は、優れた導水性により、十分な錠剤硬度と速やかな崩壊を両立。標準的な錠剤形状において水中崩壊時間とほぼ同程度の口腔内崩壊時間を示します。

GRANFILLER-D

GRANFILLER-D

「HiSORAD」
高い成形性と崩壊性を併せ持つOD錠に適した賦形剤。成形性に優れ、低打圧でも高い硬度のOD錠が製造できるのが特徴で、優れた導水性により、優れた崩壊性を実現します。また、成形が難しいAPI(医薬品有効成分)への適用も期待でき、API を高含量で配合した場合でも、十分な錠剤硬度と速やかな崩壊を両立します。

HiSORAD

HiSORAD

「SWELWiCK」
医薬品用賦形剤で培った技術・ノウハウを応用したサプリメント用の速崩壊性賦形剤。乳糖、でんぷん、セルロースの3成分を原料としたプレミックス型の添加剤で、機能性成分、甘味剤、香料、滑沢剤などと混合、直打することで十分な錠剤硬度と短い崩壊時間を両立する速崩壊タイプやチュアブルタイプのタブレットを製造できます。

SWELWiCK

SWELWiCK

なお、ダイセルでは現在、無償サンプルの提供も実施中。気になる方は下記お問合せフォームよりご連絡ください。

https://www.daicel.com/inquiry/input?inquiry_type=17

まとめ

子どもや高齢者など、嚥下が難しい人でも水なしで飲める口腔内崩壊錠(OD錠)。とりわけ高齢者の場合は、近年、食べ物などが気道に入ることで発症する誤嚥性肺炎で亡くなる方が増加しており、医薬品の服用にも注意が必要とされています。日本は、世界的に見ても少子高齢化が加速している国。OD錠の需要はますます高まるものと予想されます。

なお、ダイセルでは、今後も誰でもストレスなく医薬品を服用できる環境づくりに貢献します。ダイセルが創る医薬品の未来にご期待ください。

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