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エシカル消費

エシカル消費とは? 意味やメリットを簡単に解説

「エシカル消費」とは、人や社会、地域、環境に配慮した消費行動のことで、「エシカル(ethical)」とは、英語で「倫理的」や「道徳的」という意味の言葉です。「エシカル消費」では、社会や地球環境、人権などに配慮した商品・サービスに優先的にお金を使うことが推奨されます。

「エシカル消費」という言葉がはじめて登場したのは、イギリスの専門誌『エシカルコンシューマー(Ethical Consumer)』(1989年創刊)。本誌では、人権や環境汚染など、さまざまな観点から企業の活動を評価し、読者にエシカル消費の大切さを説いています。なお、1998年には、サプライチェーンにおける労働条件の改善を目指し、エシカル・トレード・イニシアティブという協会も発足。欧米を中心に大きな注目を集めています。

エシカル消費のメリット

エシカル消費は消費者・企業・行政双方にメリットがあります。本章では、これらのメリットについて紹介します。

・持続可能な社会や環境に貢献できる

社会問題や環境問題を意識した消費行動を推進することで、社会や環境に優しい製品が市場に多く出回り、持続可能な社会の実現に貢献できます。

・エシカル消費の対象には珍しい商品が多い

エシカル消費の対象となる商品には、小規模で販売されるものも多く含まれます。そのため、珍しい商品も少なくなく、日々の生活に「特別感」をプラスできます。

・企業のイメージアップを図れる

企業は、エシカル消費の対象となる商品やサービスを推進・展開することで、国の機関や投資家からの評価を高められるほか、エシカル消費に対する感度が高いとされるZ世代などの若年層をはじめ、消費者や社会の支持を獲得でき、安定的な顧客やファンの獲得にもつながります。

・企業の新規事業の展開につながる

企業が地球環境や社会全体に配慮した商品やサービスを検討することで、オーガニック商品などの新規事業を展開でき、新たな顧客層を獲得できます。

エシカル消費のデメリット

エシカル消費の推進は、メリットがある反面、デメリットもあります。本章では、デメリットについて紹介します。

・商品の価格が高くなりやすい

エシカル消費に関わる商品やサービスの開発は、手間やコストがかかることが多く、商品の販売価格が高くなる傾向にあります。加えて、日本では「エシカル消費」の認知度がそれほど高くないため、企業にとっては導入に対する費用対効果が見込めない可能性があります。

・導入にコストがかかる

エシカル消費を推進して、第三者機関による認証マークを獲得するにはコストがかかります。そのため、企業がエシカル消費に関わる商品やサービスを開発したとしても、狙いどおりの結果が得られるとは限りません。

・単なる企業のブランディングと思われる
エシカル消費を大々的にうたっている企業の場合、単なる企業のイメージアップ戦略と 思われる場合があります(実際、エコを標榜する企業の取り組みには実態を伴わないものもあり、「SDGsウォッシュ」と呼ばれています)。この場合、企業のエシカル消費に対する取り組みを企業のホームページに表記するなどして消費者の信頼を獲得できます。

エシカル消費を実現するために私たちができること


エシカル消費は、私たちの心がけ次第で簡単に実践できます。本章では、エシカル消費の第一歩として、代表的な例について紹介します。
 
・商品の流通経路を意識する

商品を購入する際、どのような経路をたどって店頭まで運ばれているのかを調べましょう。そして、それらの商品が、環境に優しい方法で作られているか、労働者の人権や賃金、労働環境を考えて作られているかを考え購入することが大切です。

・必要な分だけ購入する
買い物をするときは、商品を必要としている人が他にいることを想像した上で、必要な分だけ購入しましょう。余った分を結局捨ててしまうのでは、環境にもよくありません。

・応援消費を心がける

応援消費とは、企業や地域、人を応援するために行う消費活動のこと。とりわけ、被災地で製造された商品を購入することで復興を支援する「被災地支援」や、地元で生産された商品を地元で消費する「地産地消」を通して、特定の地域や団体の経済の活性化に貢献できます。なお「地産地消」の場合は、商品の配送も少なくて済むため、移動に伴うCO2削減にも貢献できます。

・障がい者施設の就労支援商品を購入する

障がい者施設の就労支援商品を購入することで、障がい者やハンディキャップを抱えている人たちの就労や自立を応援できます。

・エコバックやマイボトルを使う

近年、プラスチックの原料である化石燃料の枯渇や、プラスチックゴミによる海洋汚染が大きな問題になっています。エコバックやマイボトルを使えば、プラスチックごみの排出量を削減でき、環境の保全に貢献できます。

・認証マークのついた商品を購入する

認証マークとは、第三者機関が厳正な審査を行った上で、認められた商品に付けられるラベルのこと。有名な「エコマーク」のほか、「FSC認証」「RSPO認証」「有機JASマーク」などさまざまな種類があります。エシカル消費では、できるだけこれらの認証マークがついた商品を購入するよう心がけましょう。

エシカル消費につながる商品例

では、具体的にどのような商品を買えばエシカル消費につながるのでしょうか。今回は3つを紹介します。

【エシカル消費の商品例①】オーガニック野菜
「オーガニック野菜」とは、化学肥料や農薬、殺虫剤などに頼らず、自然の力を大切にして生産された有機野菜のこと。農薬や化学肥料は、人体への影響も懸念されるほか、植物に必要な栄養素を作り出す土の中の生物まで殺してしまう恐れもあります。そのため、オーガニック商品を選ぶことは、消費者自身だけでなく、健全な土壌を守ることにつながるのです。
なお日本では、農産物、飼料、畜産物、その加工品を対象にした「有機JAS認証」があります。2020年からは、卵や牛肉、それらの加工品の畜産食品を対象とした認証も開始。今後のオーガニック市場の拡大に期待です。

【エシカル消費の商品例②】オーガニックコットンの服
オーガニックは、野菜だけではありません。コットンにも、オーガニック認証のものがあります。コットンの栽培には、品質を保つために多くの農薬や肥料が使われており、土壌汚染や周辺住民の健康被害への影響が問題になっているほか、児童労働が強いられていたりと、劣悪な労働環境も世界的な問題になっています。
オーガニックコットンは、こういった問題への配慮もなされているほか、有機栽培のため敏感肌の人でも安心して使用できるのが特徴です。
オーガニックコットンの認証は「GOTS認証」をはじめ、世界には関連するさまざまな認証があり、取得には第三者機関認定の農地での有機栽培や、3年以上の生産実績といった厳しい基準をクリアする必要があります。

【エシカル消費の商品例③】フェアトレード商品
フェアトレードとは、発展途上国で作られた製品や作物が「適正な価格」で取引されることで、継続的かつ公正な取引を目指す貿易方法のこと。
従来、発展途上国では、現地の労働者たちが低賃金や長時間労働といった不当な待遇のもとで先進国への輸出製品を作らされ、過剰に安い価格で搾取されてきました。フェアトレードは、こういった問題が貧困問題の大きな要因となっているとの問題意識のもと生まれた考え方です。
フェアトレード製品の認証には、1997年に発足したFairtrade International(国際フェアトレードラベル機構:FLO)が認証する製品向けの「国際フェアトレード認証ラベル」が知られています。日本国内ではNPO法人Fairtrade Japan(フェアトレードジャパン:FLJ)が同ラベルのライセンス事業や製品認証事業、フェアトレードの教育啓発活動を行っています。

フェアトレード製品認証

エシカル消費とSDGsの関係性

2015年9月に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の17のゴールのうち、特にゴール12「つくる責任、つかう責任」に深く関連しています。

エシカル消費の場合、“つかう責任”がクロースアップされていますが、推進することで“つくる責任”が生まれます。エシカル消費では、こうした消費行動のサイクルを、持続可能な社会の実現へとつなげ、2030年の目標達成が目指されているSDGsの推進につながることが期待されています。

SDGsゴール

まとめ

環境問題や社会問題への意識の高まりから、近年世界的に注目を集めているエシカル消費。本記事では、実際の具体例を交えながら、その実態についてまとめました。

しかし、日本ではまだまだ浸透していないのが現状です。エシカル消費の第一歩は、私たち一人一人が、社会的な課題に気付くこと。普段の買い物を通して、社会問題や環境問題の解決のために何ができるのか、考えてみてはいかがでしょうか。

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